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プロ野球の1年

もうすぐペナントレースの開幕です。本日はパ・リーグの公式戦が開幕いたしました。ところでプロ野球の年間スケジュールって、どうなっているのでしょうね。


キャンプって? オープン戦って? 
プロ野球界では2月1日、12球団一斉に「キャンプイン」することからこの日を「球界の正月」と位置づけています。前年度の公式戦がすべて終了してから1月いっぱいまでをオフとして、この期間は各選手は好きなことをしてもいいことになっています。もちろん法に触れるようなことはいけませんよ。大抵の選手は次のシーズンに向けて自主トレを組み入れたスケジュールで動いているようです。いずれにせよ、オフに何をしているのかはファンにとっても気になるところです。

そんなオフも終わり、2月に入っていよいよキャンプが始まります。大規模な合同練習といった感じでしょうか。1軍と2軍に分かれて練習を行います。キャンプ地は沖縄等気候の暖かい土地が選ばれます。あんまり寒いと筋肉は収縮して固くなってしまいます。そんな状態で急激に体を動かしたら故障の原因になりかねません。と、言っても暦はまだ2月。沖縄と言えど特に今年は寒かったようですね。

キャンプは約1ヶ月半行われます。最近ではCS放送の専門チャンネルでキャンプの様子を仔細に見ることが出来るようになりましたので、環境が整っている方は来年のキャンプの様子をテレビでご覧になってはいかがでしょうか。

キャンプが終わる頃になるとオープン戦が始まります。これは公式戦が始まる前の最終調整の意味もあって、公式戦と練習試合の中間的な形になります。プレシーズン戦ですね。セ・リーグ、パ・リーグ関係なしに対戦カードが組まれます。
オープン戦は地方球場(フランチャイズ球場以外の球場)でも行われ、公式戦をあまり見る機会のない人たちにとっては生の野球を見る絶好のチャンスにもなっています。

公式戦ほど高くありませんが、入場料は取られます。デーゲーム(昼間の試合)がほとんどなので平日はあまりお客さんは入りません。そのため内野席の前の方の席が解放されていたりして、余裕で選手を間近に見ることができてなかなか楽しいものです♪

「オープン戦」の由来きょうろぐ

公式戦(ペナントレース)
公式戦が始まることを「開幕」と言いますが、セ・リーグとパ・リーグでは開幕時期がずれることがあります。というか、たいがい毎年違います。
今年(2005年)はパ・リーグが3月26日、セ・リーグが4月1日となっています。交流戦も含めて今年はパ・リーグが136試合(プレーオフを除く)、セ・リーグが146試合行われることになっています。

今年は初めての試みでセ・パ交流戦が行われます。期間は5月6日~6月16日まで。この間の対戦成績もペナント争奪のための大事な数字になりますので、単なるお祭りではなく真剣勝負なのです。

7月下旬、オールスター戦が行われます。セ・パ2チームに分かれた人気選手たちが昨日の敵は今日の友で戦う一種のお祭りイベントです。ペナントレースの中休み的なイベントで、出場しない選手たちは家でゆっくり観戦したりしているようです。

これが終わるといよいよ後半戦が始まります。そして甲子園球場をホームグラウンドに持つ阪神タイガースは、球場を一時高校球児たちに明け渡して「死のロード」と呼ばれる長期遠征に出ます。「死のロード」かつては文字通り死ぬほどたいへんだったようですが、最近では近隣の大阪市内に大阪ドームが作られ、ドームで試合があるときは甲子園でのゲームとさほど変わらない環境になるので、名前ほどではないそうです。

両リーグの優勝チームが決まるのは9月下旬頃から10月上旬頃。パ・リーグでは上位3チームによるプレーオフが行われて日本シリーズ出場権が争われます。そうなのです。パ・リーグではペナントレースを制したチームが日本一をかけて戦う日本シリーズに出場するのではなく、プレーオフで勝ち残ったチームが出ることになっているのです。このプレーオフは昨シーズンから導入されました。

日本シリーズ
10月中旬頃、日本シリーズが行われます。セ・リーグの覇者とパ・リーグの覇者が日本一を賭けて戦います。昨シーズンはセ・リーグ中日ドラゴンズとパ・リーグ西武ライオンズが戦って、対戦成績4-3で西武が日本一の栄誉に輝きました。日本シリーズでは先に4勝した方が勝ちになります。

契約更改
日本シリーズの直後くらいから各球団と選手との間の契約更改が行われます。そのシーズンの成績を元に査定が行われ、次のシーズンの年俸が決まります。このときに選手が球団の提示金額を保留したりすると、シーズンが終わって記事に不足するスポーツ紙の格好のターゲットになったりします。

継続して球団と契約できなかった選手は別の球団に入団するための「入団テスト」を受けたりします。(いわゆるクビなのですが、野球選手の場合「戦力外通告」と言います。)その結果無事テストに合格した選手は次のシーズンからその球団のユニフォームを着ることになります。ですが、大半の選手が引退してしまうのが実情です。

オフ
そしてオフに入ります。選手が結婚するとしたらこの期間です。シーズン中はスケジュール的に無理があるためです。
テレビのバラエティ番組に出演したり、イベントに参加したり、人気のある選手はオフとはいえ忙しく過ごします。普段はかいま見ることの出来ない選手の素顔に触れるチャンスと言えます。

一方、若手の選手は秋季キャンプに参加が義務づけられることが多く、ベテラン選手のように羽根を伸ばしているわけにはいきません。もちろん中には自主的に秋季キャンプに参加するベテラン、中堅選手もいます。

季節は巡って……
キャンプイン。以下、冒頭に戻る。


だいたいこのような1年になるでしょうか。

今年タイガースのオープン戦を見に行った際、カレンダーの掲載された「観戦ガイド」をいただきました。そこにはすべてのタイガースの公式試合スケジュールと対戦カードが書き込まれていて、あとは試合の結果を自分で書き込むだけになっています。こういったものがあれば今1年のうち、どの当たりなのかを意識しながら見ることができますね。市販のカレンダーに自分で書き込んでもいいと思います。

得点しなくちゃ始まらない!〈出塁編〉←※見出し変更

いよいよ得点するときがやってきました。アウトもいいけど点が入らないことには勝敗がつきません。では野球ではどのようにして得点していくのでしょうか?

得点! その前に出塁だ!
野球は4つの塁をすべて陥落させて(踏んで)得点するスポーツです。順番も決まっていて1塁→2塁→3塁→本塁と、ひとつも洩らしてはいけません。そしてこれは打者のお仕事です。ではどんなときに打者は大切なバットを放り投げてまで出塁できるのでしょうか。

1. ヒット
「安打」とも言います。打者は打球がフェアゾーンに入ったら1塁に向けて走らなければなりません。それまでの間に守備側の野手が打球を1塁手に送球したらアウトになりますが、その前に1塁ベースを踏んでしまえば「ヒット」になります。
よく走者が勢いよく1塁ベースを駆け抜けていくシーンを見ますが、このとき送球のタイミングが微妙(間に合うか合わないかのタイミング)だったらファウルラインの外側に駆け抜けていることに注目してください。駆け抜けた走者は塁を離れていますが、これをタッチしてもアウトにはなりません。ですが、もし走者が2塁の方向に駆け抜けた場合、進塁の意志があるとみなされればタッチアウトにすることができるのです。

1塁まで送球より先にたどり着いたら「単打」もしくは「シングルヒット」と呼ばれます。
2塁までたどり着いたら「2塁打」もしくは「ツーベースヒット」と呼ばれます。
3塁までたどり着いたら「3塁打」もしくは「スリーベースヒット」と呼ばれます。

では、次のようなときはどのように記録されるでしょうか?
打者走者は2塁を回ったところでボールの行方を見ると、どうやら外野手が処理にもたついていてこの分だと3塁まで走れそうです。3塁コーチも腕をぶんぶん振り回しています。そこで3塁まで一気に走っていきました。ところがボールは意外と速く3塁手のグラブに納まり、スライディングしたもののタッチアウトになってしまいました。
この場合は2塁までは安全にたどり着いていますので、記録は「2塁打」となります。でもアウトはアウトです。

ヒットは打球が飛んだ方向によって呼び名が変わります。もし、中堅手の前でバウンドしたら「センター前ヒット」、頭上を越えてしまったら「センターオーバー」、内野手と外野手がお見合いするような格好で中間に落ちるような当たりは「ポテンヒット」あるいは「テキサスヒット」と呼ばれます。

また、2塁打以上のヒットは「長打」とも言います。

2. フォアボール
「四球」とも言います。文字通りボールカウントが4つになったら打者は無条件で1塁に出塁できます。あとで説明しますがフォアボールは「打数」には含まれませんので、打率が落ちることはありません。

3. デッドボール
「死球」とも言います。恐ろしいネーミングですね。これは打者が投球に当たった場合無条件で出塁できることです。ですが、このとき打者がわざと当たりにいったと判断された場合は適用されません。また、スピードの速い球が頭部に当たった、あるいは当たりそうになった場合は危険球とみなされて投手は退場させられることもあります。

4. エラー、フィルダーズチョイス
それぞれ「失策」「野選」とも言います。例えば明らかに内野ゴロの当たりの打球を、野手のミスで速やかに1塁送球できずに走者を生かしてしまった場合、ヒットではなく守備側の野手に「エラー」がつきます。スコアボードには「E」と表示されます。打者は内野ゴロと記録されます。

「フィルダーズチョイス」の方は、例えば走者1塁で、ショートゴロの当たりの打球を捕球した遊撃手が、余裕のある1塁に送球せず2塁でアウトにする目的で2塁に送球したが、間に合わず2者とも生かしてしまった場合等を言います。これもヒットではなく守備側の野手に「フィルダーズチョイス」が記録されます。スコアボードには「FC」と表示されます。

この2つは審判の判断によりますので、実際にはエラーと言われればエラーだし、ヒットと言われればヒットだしということも結構あります。
先日もご紹介したシーツ選手【阪神】ですが、彼は名手と言われるほど守備のうまい選手ですが、2004年のセ・リーグ失策王(エラーの最も多い選手)でもあるのです。これは並の選手なら打球にまったく届かずヒット性の当たりに見えるのが、シーツ選手はなまじっか届いてしまうためエラーに見えてしまうから、と言われています。だからこのような逆転現象が起こってしまうのです。
このようにエラーかヒットかの見極めはたいへん難しいとされています。

宿題
本日はここまでにします。ひいきチームの選手の打撃成績をつけながら観戦してみましょう。第一打席:フォアボール、第二打席:右前打(ライト前ヒット)、第三打席:空振り三振……という具合に。スコアをつける前段階としていい練習になります。

私的選手名鑑:中島裕之選手【西武】を紹介します

私的選手名鑑へようこそ。本日は地元(兵庫県伊丹市)出身の選手ということで、西武ライオンズの中島裕之選手を紹介します。

中島裕之(なかじまひろゆき)
通称:なかじ(と呼ばれているらしい)
1982年7月31日生まれ(今年23歳)
兵庫県伊丹市出身
伊丹北高校→西武ライオンズ(00年ドラフト5位)
右投げ右打ち
内野手 昨年は遊撃手としてレギュラーに定着
身長:180cm 体重:77kg
背番号:3

2004年成績(133試合)
打率:.287(2割8分7厘)
本塁打:27本
打点:90点

小学生時代
小学3年の頃から地元の軟式野球チームに所属。当時のポジションは投手。6年のとき、県大会で優勝して全国大会に進出する。その頃バッテリー(投手&捕手のコンビ)を組んでいたのが、現在ソフトバンクホークスの山崎勝己捕手。

中学生時代
硬式野球チーム「宝塚シニア」に入団。「宝塚シニア」といえば、阪神タイガースの今岡誠選手も所属したことがある。

高校生時代
県立伊丹北高校で野球部に所属。外野手兼投手として通算43本塁打を放つ。3年春は北阪神地区優勝で県大会に進出したが、初戦で仁川学院に破れる。同年夏、県大会4回戦で姫路工にやぶれて甲子園への道が断たれる。同じ伊丹北高校出身の選手に、昨年限りでユニフォームを脱いだダイエー(現ソフトバンク)ホークスの田中総司投手がいる。

ドラフト5位で西武に指名
甲子園経験はないものの、見ている人は見ていたようで西武ライオンズのスカウトの目にとまり、熱心に誘いを受ける。00年ドラフト5位で指名され、めでたく入団、現在に至る。

内野手としてプロ入りし、初年度の2001年は2軍スタートで翌02年10月6日公式戦初出場。しかし、爆発的に活躍したのは04年。メジャー移籍した松井稼頭央の後を継ぐ形でショートのポジションを得た彼は、パ・リーグの規定試合数133試合(ストライキ中の2試合を除く)フルイニング出場したたった一人の選手に。加えてプレーオフ8試合、日本シリーズ7試合にもフル出場して、日本で最も多いイニングに出場した選手ということになった。その他オールスター戦や日米戦にも出場。

その裏には伊東ライオンズの「ミスをしても使い続けて育てる」方針があった。事実、04年の失策(エラー)数はリーグ3位の17個。しかもむずかしいショートというポジションで使い続けるには勇気がいったはず。だが、土井正博ヘッドコーチが「必ず監督に恩返しをする時が来ます。だから、それまでは我慢して使ってやってください」と頼み込んでいたこともあって、堂々と全試合フルイニング出場を果たした。

※土井ヘッドコーチは松井稼選手をスイッチヒッターに転向させた人物。御年62歳で、ライオンズベンチの白髪頭の「おじいちゃん」といえば、思い出す人もいるはず。

ポスト松井稼頭央の看板に、かつては清原がつけていた背番号「3」。彼が凡庸な選手ならば押しつぶされてしまいそうな重責に「プレッシャー? 全然平気」と言ってしまうあたり、将来大物選手になる予感がする。
高くバットを掲げ右肘を張り出し、左足を大きく上げる豪快なバッティングフォームも、若干23歳の大柄とは言えない彼が見せると一種のミスマッチを感じてしまう人も多いのでは。だが、それが違和感なく受け入れられるようになったときこそが、中島選手が真に一流選手になった証しと言えよう。

今年の目標はもちろん「1軍定着」。今年は昨年のような特別待遇はないのだから、正味実力で勝ち取っていかねばならない。打撃は言うに及ばず、守備にも厳しい目が向けられる。昨年以上に正念場になりそうだ。

ちなみに、昨年7月に脳挫傷で無くなった作家の中島らもの本名は「中島裕之」で、こちらは「なかじまゆうし」と読むそうです。出身も伊丹市の隣の尼崎市と近く、通称「らも」って誰か呼ばないかなと思っていたのですが、「なかじ」が定着したみたいですね。

ルックスは男前とはいかないまでも、かわいさが残る風貌で婦女子に人気があります。ここ重要、ですね。

冒頭の画像提供:青葉和さま

野球好きブロガー選手名鑑へのエントリー(きょうろぐ)

きょうろぐさんに協力するブログ、と銘打っておきながら最近あまり協力していると言えないのですが、ずうずうしくも「野球好きブロガー選手名鑑」へエントリーすることにしました。ちょっと詳しいプロフィール程度にお読みください。もちろんすっ飛ばしていただいても結構です。

1.ハンドルネーム
鳴尾浜小町(なるおはまこまち)
性別:女

2.自分のブログ名、URL
  初心者向け:女の子のための『野球、ルール以前のモンダイ』 http://naruohama.ameblo.jp
  玄人(?)向け:プロ野球 男道! http://naruohama.tblog.jp

3.出身 住まいの地域
徳島県生まれ、大阪育ち、兵庫県在住(鳴尾浜ではありません)

4.所属 ファンの球団名。
  大阪近鉄バファローズ(1989)+阪神タイガース(2003より)
  前者はあの10.19に心を打たれ、後者は星野阪神の大躍進に胸を打たれてファンになりました。

5.趣味 ブログで野球以外に扱うネタ。(本当の趣味)
  ロードレーサー アニメ 料理(B級) キャンプ ガンプラ 犬
  ただし、ブログでは今のところ野球オンリー

6.家族 
夫ひとり、犬(ミニチュアダックスフント)一匹

7.主なタイトル 
 「私的選手名鑑 佐伯貴弘【横浜】」(みんなの選手名鑑)←TB記事
  他

8.(生涯)成績
64勝128敗 防御率:4.90
その他特記事項:投手のくせに11本塁打を残す。

9.8の意味、とそんな自分への一言アドバイス
1勝につき2敗が必要。得をしたと思っても気がついたら大きく負け越し。にもかかわらずこの防御率は立派?

欲張るな、少欲知足で行こう!(カウント2-3から三振を狙うのは止めましょう。)

10.読者の方へのメッセージ(自己PR)
女の子の野球ファンを増やしたい。こんなに男前がごろごろしてますよと、アピールしたい。

11.好きな番号 
11番です。かつては近鉄時代の野茂の、そして今は愛する憲伸の背番号。

アウトいろいろ《改訂版》

あれもアウト♪ これもアウト♪

野球の試合を進める上で最も重要なことはなんでしょうか? ヒットを打つこと? 確かにヒットを打たないことにはサクサク得点することはできません。4連続フォアボールで1点というのもありですが、それではあまりに退屈です。
それよりも重要なのは「アウトをとること」なのです。アウトとらないことには攻守交替ができず、9回で試合が終了するのに回が進まず、コールド規定がない限り試合が終わりません。


※コールドゲーム(called game)
大量に得点差が発生し、見ている方がさむ~くなる試合…ではありません。五回以上の攻守を終えたあとの時点で、降雨・(ナイター設備のない球場での試合で)日没や得点に大差がついた場合に、主審の裁量でその回で試合の終了を宣言する試合。勝敗はその時点の得点で決められるゲーム(試合)のことです。calledとは「判定された」「宣言された」くらいの意味です。


では、試合の中でどのようなときにアウトになるのでしょうか。

1. フライ
 打球が地面に落ちる前に(=ノーバウンド)守備側の選手が捕球するとアウトになります。これを「フライ」と言います。これはフェアゾーンでもファウルゾーンでも同じです。「ゾーンで見る野球-その1」で「ファウルボールを積極的に捕るといいことがある」と書きましたが、この故です。二塁手が捕球してアウトにしたら「セカンドフライ」、ファウルゾーンで捕球したら「ファウルフライ」と呼ばれます。

 「ライナー」という言葉もありますが、意味はフライと同じです。弾道が低く、高く打ち上がらないタイプの打球のことをこう呼んでいます。

2.ゴロ
 地面についた(バウンドした)打球を守備側の選手が捕球して、打った走者(打者走者)が1塁に到達する前に、1塁に入った(1塁ベースを踏んでいる)選手に送球した場合、あるいは自分で1塁ベースを踏むとアウトになります。これを「ゴロ」と呼びます。投手が捕球して処理したら「ピッチャーゴロ」、1塁手が捕球して処理したら「ファーストゴロ」になります。総称して「内野ゴロ」と言います。
 「外野ゴロ」はあまりありません。なぜなら、外野までコロコロとボールが転がっていったらまず間違いなくヒットになるからです。
 また、打者走者はセーフになったけど、そのとき塁にいた走者が次の塁でアウトになった場合(4. 封殺参照)、打者の記録はゴロになります。自分の打席でアウトを作ってしまったからです。

3.タッチアウト
 捕球した選手がボールの入ったグラブで走者(塁を離れた走者)をタッチするとアウトになります。

4.封殺
 例えば1塁に走者がいる状態で打者がゴロを打った場合、1塁走者はその瞬間2塁に向けて走らなければなりません。1つの塁に二人以上の走者がいてはいけないからです。ついでにいうと追い越しもいけません。この走者は、先に2塁にボールが送球されると走者へのタッチなしでもアウトになります。
 このように進塁しなければならない走者を次の塁でアウトにすることを「封殺(フォースアウト)」(forced out)と言います。走者を塁間に封じ込めるから…でしょうか。(forceは「強制する」という意味ですから、走ることを強制されたランナーをアウトにするという意味です。)

5. 三振
 もうご存知ですね。ですが三振してもアウトにならない場合があります。が、これはまた別の機会に説明します。
 また、2アウトからのバント(後述)がファウルになった場合、「スリーバント失敗」でアウトになります。普通、2アウトからのバント以外でのファウルはストライクカウントになりませんので、アウトにもなりません。

アウトォー! でも……

それではアウトはいつも「悪」なのでしょうか。たしかにアウトカウント3つで攻守交替ですから、嬉しいものではありません。しかし、打者がアウトになっても、走者がいた場合進塁できるパターンがいくつかあって、運が良ければ得点が可能です。「肉を斬らせて骨を断つ」戦法ですね。
ただし、アウトカウントはつきますので以下のプレーは2アウトでは不可能です。

☆犠牲(送り)バント
 バントとは、ボールの勢いを殺して投手と捕手の間に転がすように球を打つことです。よく打者がバットを横に寝かせるような構えをすることがありますね。あれが「バントの構え」です。
 1塁走者は次の打者が打つ時点で2塁側に多少リードしていますし、走る体勢で待っていますので、打者が1塁に到達するのと比べるとかなり早く進塁ができます。そこで、守備側は確実にアウトを取れる1塁に送球します。これにより、1塁はアウトになりますが、結果的に走者は2塁に進塁します。このときバントした打者は自分を犠牲にして進塁させたということで、記録は「犠打」になります。これは進塁を意図したことが明らかな場合に限られ、結果的に進塁打になったような当たりのときは「犠打」にはなりません。(この箇所、追加)

 また、バントではなくても、走者進塁して、アウトになったのが打者だけの場合も「犠打」になります。

☆犠牲フライ
 打ち上げた打球をノーバウンドで捕球したら、打者はその時点でアウトになります。このとき走者は一旦帰塁(元の塁に戻る)して、捕球と同時にスタートを切って走塁することができるのです。これを「タッチアップ」と言います。
 走者3塁で次の打者が外野の深いところにフライを打ち上げたとしましょう。3塁走者は飛び出していたら一旦帰塁して、外野手が捕球するのを待ちます。そして捕球と同時に本塁に向かって走塁を始めます。ボールが外野から戻ってくるまでに本塁を踏めば1得点です。打者はアウトですが、一人帰還(本塁に戻ってくる)して得点したわけですから、記録は「犠打」「打点1(後述)」になります。
 犠牲フライは「犠飛」とも表記されます。
 またタッチアップで1-2塁、2ー3塁へ進塁しただけでは「犠打」にはなりません。(この箇所、追加)

実例
H.17年3月10日、甲子園球場で行われた阪神対日ハムのオープン戦の試合で、珍しいタッチアッププレーがありました。
4回裏(阪神の攻撃)無死(ノーアウト)1塁で打者は町田。彼は高い高いキャッチャーフライを打ち上げてしまいました。日ハムの捕手はそれを追いかけて、背後のファウルグラウンドに走り出し、フェンス際で捕球しました。この時点で町田はアウトです。現場で見ていた私はこの間、当然捕手の動きに注目していました。
と、そのとき捕手が慌てたような動きを見せたのです。そして次の瞬間には持っていた球を2塁に送球。一瞬何が起こったのか分かりませんでした。が、2塁を見るとヘッドスライディングをしたばかりらしい、泥だらけの1塁走者のシーツが立ち上がろうとしています。
??? ひょっとして、キャッチャーフライタッチアップ成功? キャッチャーフライでタッチアップから走塁というのはかなり珍しいことです。私自身、これ以前に聞いたことはあったとしても、見た記憶がありません。

インフィールド・フライ?

「インフィールドフライ」という言葉を聞いたことがあるでしょうか? ない、という方も多いと思います。いったい何のことなんでしょうか?

もっとも効率のよいアウトの取り方は「併殺(ダブルプレー)」です。封殺可能な走者がいる状態で、内野ゴロ等を処理して走者と打者走者の両者をアウトにすることです。例えば、走者1塁で、打者がショートゴロを打ったとします。走者は2塁に進塁しますが、到達前に2塁に送球して1アウト、さらに2塁から1塁に送球して1塁に走ってきた打者走者もアウトにするようなプレイです。攻撃側は併殺だけは避けたいわけです。

逆に守備側はダブルプレーが取れれば万々歳です。そこで、多少のズルをしてでも併殺しようとすることもでてくるのです。
例えば、1アウト1・2塁でもし併殺プレーがでたら攻守交替という場面で、打者が内野フライを打ち上げたとします。これを普通に捕球すれば打者をアウトにできますが、あくまで1アウトのみです。走者は1塁に戻って次の打者を迎えるところですが、ボールをわざと落としてゴロ扱いにし、2塁封殺の後1塁送球アウトで併殺というプレーを行えば、意図して2アウトをとり、攻守交替することができます。

ですが、これはあまりに姑息なプレーということで、少なくとも2アウトを取れなくするためにルールを設けました。それが「インフィールドフライ」です。

もう一度今の例を見てみましょう。普通のフライとして処理されていたらアウト1つが加算されるだけです。ですからわざとボールを落としてゴロにします。そうすると、1塁走者は進塁の義務が生じて2塁に進塁しますが、タイミング的に封殺になる公算が高いのです。そのあと1塁送球でこちらもアウト。結果アウト2つカウントされて攻撃側に不利です。

これを防ぐにはどうしたらよいのか。インフィールドフライは次のように規定されています。

無死または一死で、走者1・2塁または満塁のとき、内野手が普通の守備行為をすれば捕球できる飛球(フライ)が打ち上げられたら、捕球する前にアウトが宣告される。

これは外野フライには適用されません。インフィールド(infield)は内野という意味です。外野フライだと併殺は難しいので、これは内野フライのみに適用されます。
これで故意に落球して併殺を取ろうとするプレーを防ぐことができます。

インフィールドフライとは?」(きょうろぐ)参照

宿題

三振以外でアウトになった場合、なぜアウトになったのか考えながら試合観戦しましょう。分からなくても深く考え込む必要はありません。そのうち、すぐに分かるようになりますし、それより大切なのは試合を楽しむことですから。
もうすぐ開幕です。リコちゃん、しょこちゃん、そろそろ準備はよろしいですか?

守備位置について

守備位置を覚えましょう!

野球では打者にボールを投げる投手、それを受ける捕手の他に7人の野手がいます。ベースを守っている野手と2・3塁の間を守る「ショート(遊撃手)」の4人が「内野手」、その後ろを守る3人が「外野手」です。つまり、塁間を結ぶ線の内側が内野、その外側のフェアゾーンが外野ということです。

外野は「レフト(左翼)」「センター(中堅)」「ライト(右翼)」に分かれます。これはそれぞれ、キャッチャーの位置から見て左、正面、右になります。
ここで「ゾーンで見る野球-その1」の図をもう一度見てください。球場の大きさを表した部分に「両翼100m・中堅120m」と書いてあります。これは実はホームベースからの距離を表したものなのです。「両翼」というのはホームベースから左翼・右翼の端(観客席との境目)まで、「中堅」というのはセンターの一番深い(遠い)ところまでの直線距離のことです。図で言うとAが右翼先端までの距離、A'が左翼先端までの距離、そしてBが中堅最深部までの距離になります。


《先に進む前に》
ここでフランチャイズ球場の大きさを見てみましょう。

・広島市民球場 両翼:91.4m 中堅:115.8m
・フルキャストスタジアム宮城 両翼:101.5m 中堅:122m
・明治神宮野球場 両翼:91m 中堅:120m
・阪神甲子園球場 両翼:96m 中堅:120m
・東京ドーム 両翼:100m 中堅:122m

両翼が一番短いのが神宮球場(ヤクルト)、中堅が一番短いのが広島市民球場(広島)、新規参入球団の楽天のフランチャイズのフルキャストスタジアムは意外に大きな球場だということがわかりますね。では、小さい球場ではホームランが多く出るかというと、一概にそうは言えません。
まず、フィールドと観客席の間を仕切るフェンスの高さに左右されます。最近のドーム型球場は比較的フェンスが高く設計されていますので、同じ中堅120mでもフェンスの高さが低い甲子園球場に比べてホームランになりにくいと言えます。
また、屋外型の球場では風の力で打球が押し返される、あるいは風に乗って飛距離が伸びる現象が起こりえます。(東京ドームのように内部の空気圧で屋根を支えているドームでも、空気の動き、つまり風が発生します。)

このように、球場によってさまざまな条件が違うのも野球の特徴です。不公平と言えば不公平かもしれませんが、現実問題まったく同じ条件になるような球場を改めて建設するのは、きわめて困難だと言えます。(大きさに関しては、新しい球場はサイズを統一しているようです)球場の環境条件の違いを楽しむのも、スタジアム観戦の醍醐味ではないでしょうか。


内野と外野の人数の差

では、狭い内野を守る内野手と、広い外野を守る外野手の数が一見逆転しているのはなぜなのでしょう?
野球は誕生以来、現在の形に落ち着くまでにさまざまな変遷を繰り返してきました。その中で、外野手と内野手の数もその都度変えられてきたのです。今は「野球の歴史」の時間ではありませんので、そのあたりの話は省きます。

最初に書いたように現在では内野手は4人で、外野手は3人で守っています。これは打球処理の難易度に関係していると思われます。打球はバウンドした場合、打者から離れれば離れるほどスピードが落ちます。つまり、内野手は常に外野手より速度の速い打球を処理しなければなりません。(高く打ち上げた場合は、守備範囲の広い外野手の方が若干不利です。)
そのため、内野手の方が外野手より1人多くなったと思われます。

ショート(遊撃手)って?

ショートの守備位置は2塁と3塁の間です。正式にはshort stopと言います。2・3塁間が他の塁間と比べて短い、というわけではありません。なぜショートという名称が使われているのかは、諸説あります。
「ショートの名前の由来は?」(きょうろぐ)参照

守備位置による差

プロ野球を見ますと、選手には同じ内(外)野手でも専門に守っている守備位置がありますね。内野手なのだから内野のどこを守っても同じ、というわけではなさそうです。

では、守備位置によってどのような差があるのでしょう?

内野手
1塁:ベースを踏んだ状態で捕球しなければならないため、手足が長い、つまり背の高い選手が向いている。

2塁:強い打球を素早く処理(捕球の後送球)しなければならないため、俊敏な選手が向いている。

3塁:右打者の強い打球が飛んでくるため(右打者が思い切りバットを振り切ったら、打球は3塁の方向に飛んでいきます)「ホットコーナー」(激烈なコーナー)との別名がある。1塁までの距離が遠いため、強肩を持つ俊敏な選手が向いている。

ショート:ボールがよく飛んでくるので、集中力のある俊敏である程度肩の強い選手が向いている。

外野手
レフト:数多い右打者の打球がよく飛んでくるので、打球処理のうまい(フライの落下地点を正確に読める)選手が向いている。

センター:守備範囲が広いので、足が速く打球処理のうまい選手が向いている。

ライト:打球が飛んでくる機会が少ないが、ここに打球が飛ぶと走塁の機会を与えてしまうので、それを阻止するため強肩を持つ選手が向いている。

これで、比類なき強肩の持ち主のイチロー選手がライトを守っている理由が、あるいは足の速い赤星選手【阪神】がセンターを守っている理由が分かりますね。
ただ、途中で守備位置を変更する(コンバートする)選手もいますし、内野も外野も守れる選手もいます。

スコアブックでは……

試合の詳しい記録は「スコアブック」と呼ばれる記録用紙に書き込まれます。(このブログでもスコアの付け方まで説明できたらと、思っています。)記録用紙は限られた紙面しか使えないので、さまざまな略称が使われます。守備位置に関する略称は以下のとおりです。

1ーー投手
2ーー捕手
3ーー一塁手
4ーー二塁手
5ーー三塁手
6ーー遊撃手(ショート)
7ーー左翼
8ーー中堅
9ーー右翼

守備位置はこのように数字に置き換えられるのです。球場のスコアボードの選手名の上や下につけられた数字がそうです。
野球中継を見て(聞いて)いたらときどきアナウンサーが「4-6-3のダブルプレーです。」と言っていることがありますが、これは「4(二塁手)が捕球して、二塁ベースカバーに入った6(遊撃手)に送球して二塁をアウトに、さらに3(一塁手)に送球して一塁もアウトに」するという、一粒で二度おいしいプレーという意味なのです。(「4-6-3」のダブルプレー・・数字の意味は?」(きょうろぐ)参照)
ただし、初心者は最初から覚える必要はありません。

なお、内野手は捕手から見て左回りに数えるのに、外野手は右回りなのかについてですが、これは左と右では左の方が偉いから(右大臣より左大臣)……なんていう説明はダメ?(すみません……)

DHって書いてある…

ひいきのチームがパ・リーグに所属している場合、スコアボードに「DH」と書かれた選手がいることに気がつきます。これは「指名打者(Designated Hitter)」といって、投手の打順が回ってきたときに代わりに打席に入る選手のことです。
投手というのはたいてい打撃は苦手です。ピッチングに集中するため打撃練習を控えるためだと思われます。そのため、投手に打順が回ってきたら、たとえ得点のチャンスでもそのチャンスを活かせない場合があるのです。そこで、投手の代わりに打者を指名して(designate)その打者が投手の代わりに打席に入る制度が生まれました。これを「DH制」と言います。日本プロ野球では、パ・リーグがこの制度を採用しています。

DH制は簡単に言えば
・投手の代わりのみ。野手の代わりにDHを使うことはできない。
・DHの選手は守備にはつかない。
・日本では現在パ・リーグのみが採用。
という制度です。

※DHについて詳細が「きょうろぐ」にアップされていました。「DHのルール」

宿題です。

あなたのひいきチームの野手の特徴を調べてみましょう。選手のことをよく知らないというあなた、今シーズンは選手名鑑を購入して、どんなプロ野球選手がいるのかを調べながら観戦してみましょう。
選手名鑑はさまざまな出版社から出ています。

☆以下は今シーズン用に小町が購入した選手名鑑です。すべての名鑑を比較して購入したわけではありませんので、他の名鑑の方が分かりやすいかもしれませんが、とりあえずご紹介しておきます。




プロ野球選手名鑑?決定版! (2005) (ベースボール・マガジン社)文庫サイズ、399ページ、白黒。
文庫サイズなので携帯に便利。球場観戦のお供にどうぞ。

『2005プロ野球12球団全選手百科名鑑』 (日本スポーツ出版社) A6版、290ページ、カラー(1部2色刷り)。
選手情報の他に審判や解説者の紹介や、各種記録、チーム応援歌まで掲載。
※この書籍は雑誌『ホームラン』の3月号増刊だそうで、Amazonでの取り扱いはないみたいです。
※中の記事の執筆者のブログのようです。

あなたは右打者? 左打者?

右利きなのに左打ち?

殆どの人は利き腕というものを持っています。要するに右か左か、どちらがより自由自在に扱えるかということです。もちろん、利き足というのもあります。野球選手はボールを投げて打つのが商売ですが、では、どちらの腕を使って投げたり打ったりしているのでしょうか。という質問は実はちょっと妙です。だって利き腕というのは「より自由自在に扱える腕」という意味でしょう。だとしたら、投げたり打ったりするのも利き腕でした方がいいはずです。でも、実際には利き腕ではない方を使っている選手が少なからずいます。特に利き腕は右なのに左で打つ選手が多く存在します。(投手ではあまりいないようです。)
なぜでしょう。

あなたはどっち?

その前に、右打者と左打者の違いについて見てみましょう。まず、あなた自身がどちらのタイプなのか、調べましょう。鉛筆、お箸、ほうきなど何でもいいのですが、細長い物を剣道の竹刀を持つように握ってみてください。そのとき上になった手はどちらですか? 左が上になった方は左打者、右が上になった方は右打者の方が向いています。調べる際、ぞうきんを絞ってみてもいいのですが、最近横絞り(ぞうきんを床と平行にして絞る)をする人が増えているそうで、そのやり方では判断できません。
上になった方の手をその手と同じ方の肩に(右手なら右肩)近づけます。それがだいたいのバットの構えになります。そうすると右打者の場合、左側に投手を見ることになりますね。逆に左打者の場合、右側に投手を見ることになります。

どっちが有利?

ここからは想像力を働かせてください。あなたはバッターボックスに立って投手と対決しています。その投手が右腕を使って投げる場合と左腕を使って投げる場合ではボールの見え方が違うと思いませんか?違う、ということはどちらかが打ちやすくて、どちらかが打ちにくいということもあり得るということです。そして一般的には右の投手に対して左打者が、左の投手に対して右打者が有利と言われています。
ですから、次の打順が左の強打者という場面で右の投手を左の投手と交替させたり、それを見た攻撃側がさらに右の代打を送り込んだりということが、プロ野球ではしばしば行われます。

では、最初の問題、なぜ右利きなのに左打ちの選手がいるのかを考えてみましょう。大半の日本人は右利きです。そして同じ割合で大半の投手も右利きです。右投手への対応が容易と言われる左打ちができれば、実戦でも有利な戦いができるというものです。
しかし、実際にはそれが当てはまらないケースも見られます。川上憲伸投手【中日】は右投手ですが、右打者により打ち込まれていますし、左打者の大村直之選手【元近鉄、今年からソフトバンク】は右投手より左投手の方が得意です。

実は右利きの選手が左打ちに切り替える理由がもうひとつあります。それは元阪神タイガースの掛布雅之氏(現在日本テレビ解説者兼「探偵!ナイトスクープ」顧問)です。彼が左打者だったため、彼に憧れた野球少年が左打ちに転向したケースが結構見られ、彼らのうち何人かがプロ野球選手になったというのです。かわいらしい話ですね。

スイッチヒッターって?

また、スイッチヒッターという存在もあります。両打ち、ようするに右でも左でも打てる打者ということです。有名なところではNYメッツの松井稼頭央選手がそうです。ちなみに彼は最初は右打者だったのですが、右投手からまったく打てなかったことが、スイッチ(切り替え)のきっかけになったそうです。
スイッチヒッターは左右両方に体をひねるため、腰痛が少ないという話もあります。そのかわり、練習は通常の2倍です。他の選手が練習を終えてから、反対側のスイングで練習をするそうですよ。

ただ、利き腕と反対の腕で投げる投手(野手)というのは数が少ないようです。簡単ではないにせよ打つことはできても、投げる方はなかなか難しいようです。特に投手ともなると微妙なコントロールが要求されますので、相当器用でないと「スイッチッピッチャー」のようなことはできないのでしょうね。(かつてプロ野球選手でスイッチピッチャーがいましたが、実際に試合中に使い分けたことはなかったようです。うろ覚えなので正確なことは分かりませんが。)

◇おまけ◇
左投手のことを「サウスポー(southpaw)」と言いますが、語源について以下のサイトで簡単に説明されています。興味のある方はどうぞ。
「雑学の小部屋」
ホームページURL:http://www.union-net.or.jp/cu-cap/zatugaku.htm
“サウスポー”の説明:http://www.union-net.or.jp/cu-cap/southpaw.htm

「ゾーン」で見る野球-その2

もうひとつのゾーン「ストライクゾーン」

strikeとは「打つ」ことを意味します。野球の場合「打つ」といえば「バットでボールを」打つことに決まっていますね。「ストライクゾーン」というのはすなわち

「打者がもっともボールを打ちやすい空間」

という意味になります。ですからその空間=ゾーンに入ってきたボールは打ち返さなければならない、平たく言うと打たないあんたが悪いのよ、ということです。これを打た(打て)なければ「ストライク」がカウントされます。そして打者にとってチャンスは3回。すなわち「スリーストライク」で打者はアウトになり(これを「三振」といいます)、さらに3人の打者がアウトになると攻撃のチャンスが相手チームに移ってしまいます。

ストライク×3(三振)=1アウト
アウト×3=攻防の交替

では、投手の投げたボールがストライクゾーンをはずしたらどうなるのでしょうか。
この場合「ボール」が宣告されます。ボールがカウントされると今度は投手が追い込まれます。なぜかと言うと、ボール4つで対戦中の打者は無条件で1塁に出塁できるからです。当然アウトはカウントされません。出塁(塁に出ること)という観点から見るとこれは「シングルヒット(ボールを打つことによって1塁に出塁できる)」に匹敵します。これを「フォアボール」といいます。

ボール×4(フォアボール)=打者が出塁

ごく単純に言うと
・「ストライク」は投手に有利
・「ボール」は打者に有利
ということです。

問題です。打者が「ボール球(ボールも球も本来は同じ意味なのですが、これはストライクゾーンに入らなかった球という意味です)」に手を出して、しかも打つことができなかった場合カウントはどうなるでしょうか?

答えは「ストライク」です。飛んできた球がストライクゾーンに入らないことを見抜けなかったあんたが悪いのねン、といったところでしょうか。
これらのことから、
○打者はボールがストライクゾーンに入るか否かを見極める能力(選球眼)が必要
○投手は投げた球の軌跡(コース)を打者に見抜かれないように自在に投げる能力(制球力)が必要
なのです。

試合の得点が表示される球場のスコアボードやTV中継の画面には、ストライクは「S」、ボールは「B」で表されます。また、アウトは「O」です。

どこにあるの? ストライクゾーン

次にそのストライクゾーンがどこにあるのか見てみましょう。
ストライクゾーンはホームベースの上の空間に存在します。ということは幅はホームベースの幅(ボール約6個分)に等しいわけです。
高さの説明は少し複雑です。用意はいいですか?

「打者の肩の上部とユニフォームのズボンの上部との中間点に引いた水平のラインを上限とし、ひざ頭の下部のラインを下限とする」

??? 一読しただけでは分かりにくいですね。そこで横浜ベイスターズの種田選手のシルエットさんにお越しいただきました。種田選手のシルエットさん、よろしくお願いします。
シルエット「……」
すみません、シルエットはしゃべれませんでした。
みなさんはこの記事の一番上の画像をクリックしてください(拡大表示されるはずです)。シルエットさん、ちょっと構えてみて……あ、もう構えてらっしゃいますね。……ずいぶん個性的な構えです。


《先に進む前に》
種田選手の構えは「がに股打法」としてよく知られています。明らかに一般的な構えではありませんが、バッティングフォームには少なからず打者の個性が出るものです。
なお、種田選手は「がに股以前」と比べて「がに股以後」では打撃成績が上がっているそうです。ですが、誰がやっても打撃がよくなるというわけではありません、たぶん…。
ちなみにベイスターズの本拠地、横浜スタジアムではファンによる「種田ダンス」が見られます。


図1のシルエットさんから伸びている2本の赤いラインの内側がストライクゾーンです。上限はわきの少し下あたりになると思います(下限が少しずれていますが、気にしないでください)。
また、シルエットさんにわざわざ構えていただいたのには、わけがあります。ストライクゾーンは決してまっすぐ立った状態で判断するのではないということを、分かっていただくためです。極端な話、うんとしゃがんだ状態で構えるとストライクゾーンはうんと低めになるのです。

ストライクゾーンの中

打者はホームベースの右か左に立ちます。右打者は投手から見て右に、左打者は左に立ちます。図3はキャッチャーから見たストライクゾーンですが、打者は右打者でキャッチャーから見て左側に立っているものとします。
ストライクゾーンといっても、その中を通過する球すべてが打ちやすいとは限りません。もっとも打ちやすいのは図の中の赤い部分で、いわゆる「ど真ん中」というものです。ここを通過する球はどんな打者にとっても、打ちやすい球になります(実際にはタイミングやスピード等で必ず打てるというわけではありません)。

黄色い部分を通過する球は、打者に近いところを通る「インコース(内角)」の球と言います。ボールが自分のすぐそばを通っていくわけですから、打ちにくいコースと言えます。また、自らが球に当たってしまう(デッドボール , 死球)危険性もあります。
青い部分を通過する球は、打者から遠いところを通る「アウトコース(外角)」の球です。体の大きい、腕の長い打者なら届くかもしれませんが、背の低い、腕の短い打者にはつらいコースと言えます。

黒い点々の部分は「高め」、赤い点々の部分は「低め」になります。これらを組み合わせて「外角高め」とか「内角低め」、あるいは「インハイ(内角高め)」「アウトロウ(外角低め)」などと言います。また、打ちにくい、とは言っても打者によって得意なコースがあるようです。

宿題? ありますよ

とはいえ、ストライクかどうかを見極めるのは審判(球審、キャッチャーの後ろに立っている人)のお仕事です。観戦するときはその結果だけ見れば(聞けば)十分です。
そこで、この次観戦するときはひいきのチームの打者がバッターボックスに立ったとき、そのストライクとボールの数を数えてみましょう。ビギナーが退屈するのはおそらく打者がなかなかヒットを打たないからだと思いますが、ボールカウントを意識しながら見るとあっという間に時間が過ぎていきますよ。

◇補足◇
ボールカウントが2ストライク以外のとき、打球がファウル(「ゾーン」で見る野球-その1参照)となった場合はストライクとしてカウントされます。これは故意にファウルを打ち続けて投手を疲れさせようとするのを防ぐためです。

「ゾーン」で見る野球ーその1

ここらへんで野球のルールらしきことなど、お話してみましょう。先週の土曜日から「オープン戦」と呼ばれる、公式戦に先立って行われる試合も各地で始まったことですし。
今日は「ゾーン」についてです。

「ゾーン」とは?

野球の試合を見ていても「ゾーン」という言葉を単独で聞くことはほとんどありません。たいてい「ファウルゾーン」のように前に別の言葉がくっついてきます。ゾーン”zone”は「区域」のことで、特に境界線がはっきりした場所のことを言うときに使う言葉です。スポーツで領域や陣地のことを表すのにも使われます。

野球では主に3つの「ゾーン」があります。

・フェアゾーン
・ファウルゾーン
・ストライクゾーン

「フェアゾーン」と「ファウルゾーン」はグラウンドに目に見える形で存在します。では、野球が行われるグラウンドはどのような形をしているのか見てみましょう。

この記事の一番上の図は典型的な球場を図式化したものです。(アメブロで画像を任意の場所に配置する方法がわからないのです…)手前に本塁を置いてみました。AとA'はそれぞれファウルラインと言います(赤い破線を含む)。B(黒い破線、Dの実線を含む)は本塁から最も遠いところまでの距離を表しています。AおよびA'の先端とBの先端を曲線で結んだ青いラインより向こう側(外側)で、赤い破線の内側は観客席(外野席)になります。
野球のプレイグラウンドは本塁を軸に扇形をしていますが、この扇の内側が観客席を含めて「フェアゾーン」になります。
ですから、この外側が「ファウルゾーン」というわけです。このうちAとA'(赤い実線)の先端から下方向にアルファベットのUの字の形にグラウンドが広がっていて、その外側に観客席(内野席等)が続いています。

ちなみに図中の「両翼」「中堅」等の言葉は今は分からなくても結構です。また、数値もまったく気にすることはありません。

フェアゾーンとファウルゾーンの違い

さて、試合の中でこのふたつはどのように扱われるのでしょうか。
野球は投手(ピッチャー)が投げるボールを打者(バッター)がバットで打とうとすることから始まります。


《先に進む前に》
 野球は英語でBaseballというくらいですから、ベース(塁)と呼ばれる白くて四角い一種のプレートを陥落させて(踏んで)得点するスポーツです。ベースはそれぞれ次のように呼ばれています。

・本塁(ホームベース)
・一塁(ファーストベース)ここを守る人は「一塁手」
・二塁(セカンドベース)ここを守る人は「二塁手」
・三塁(サードベース)ここを守る人は「三塁手」

本塁にも選手が陣取っていますが、本塁を守ることもそうですがもっと大切な役割があって、それゆえ「捕手(キャッチャー)」と呼ばれています。そうです、ピッチャーの投げたボールを受ける(捕らえる)役割です。

この4つの塁は正方形を描くように配置されています。この正方形は一角を軸に見るので菱形にもなります。ですから、別名ダイナ……いえ、「ダイアモンド(菱形)」とも言われています。(あやうく年がばれるところでした。なんのことか分からなかった方はくれぐれも深追いしないように。)


ピッチャーはダイヤモンドのちょうど中心の位置から本塁の少し後ろにいるキャッチャーに向けて投球します。打者は本塁の右か左に立ち、これを打ち返そうとします。もちろんバットに当たりもしないこともありますが、ここではボールが当たったと仮定します。

打ったボールは「打球」と呼ばれます。このときピッチャー以外の守りについている選手(野手)は本塁の方を向いて立っていて、本塁の方から飛んでくる打球を捕って塁を踏ませないように邪魔します。ピッチャー自身が打球を処理することもあります。

ですが、これは打球がフェアゾーンのうちグラウンド(フェアグラウンド)に落ちてきた場合です。フェアゾーンでも観客席に飛び込んだ場合は「ホームラン(本塁打)」になり、否応なく1~4点を得点することになります。
もし、打球がファウルゾーンのうちグラウンド(ファウルグラウンド)に落ちてきた場合は、基本的に野手はなにもする必要はありません。ただし、この「基本的に」は「戦術的に」という意味ではありません。ファウルグラウンドに落ちてきたボールを積極的に捕ると、いいことがあります。(後述)

宿題

今日から野球の試合を見るときは、打球がどのゾーンに飛んでいくのかに注目しましょう。
次回は「ストライクゾーン」についてです。

追記
リコちゃんがヤクルトスワローズの高橋敏郎捕手に一目惚れした模様です。ヤクルトは私の守備範囲外なので、どなたか彼について情報をお持ちの方はコメント欄にでもご一報ください。リコちゃんにフィードバックします。

私的選手名鑑:佐伯貴弘【横浜】

sa_ecky

私は阪神ファンです。ですが、横浜ベイスターズの佐伯貴弘選手のファンでもあります。そこで佐伯選手をここに紹介します。なるべく用語に説明をつけますが、もっと詳しい説明は後日追加します。



佐伯貴弘(さえきたかひろ)

通称:ハマの男前(ベイスターズの選手は愛称の頭に「ハマの」と付くことが多い)

1970年4月18日生まれ(今年35歳)

大阪市東成区出身

尽誠学園高校→大阪商業大学→横浜ベイスターズ(92年ドラフト2位)

 ※高校ではあの伊良部投手の後輩で、ルームメイトだったそうです。

左打ち左投げ

内野手ですが、外野守備もこなします。



彼の野球人生は語り継がれるべき伝説の宝庫です。



大商大時代

 通算12本塁打(ホームラン)で当時関西六大学リーグの本塁打記録

 三冠王(本塁打王、首位打者、打点王)2度



横浜入団

 92年ドラフト2位で横浜入団。だが彼は本当は阪神に入団したかったと周囲に漏らしていたそうです。ですが、入団を希望する球団はと聞かれて「どこでもいい」と、本心を明かすことはありませんでした。

 その入団会見のあと、事件は起こります。記者会見に姿を見せたお母様がおもむろに「うちの息子は女の子を見ると股間をふくらませてしまう若輩者ですが、どうぞよろしくお願いします」と発言してしまいます。佐伯の心中はいかに……。ですが、小学校2年生のとき父親を亡くして以来女手ひとつで佐伯を育て上げたお母様を誰よりも大切にしている男・佐伯でありました。(「女の子のため…」ですが、どうしても紹介しておきたかったエピソードだったもので。すみません。)



 97年オフ、契約更改で佐伯は球団の提示した金額を保留します。これはよくあることですが、そのときの佐伯の発言が「標準語を話す人とは話がでけん。大阪弁を話す人を用意しろ」というもの。早速球団は大阪出身の交渉人を連れてきて「これでどないや」「サインします」の運びとなりました。後に「球団もプロでした」と懐古。



 2001年、彼の愛車からタイヤ4本が盗まれるという事件が発生しました。タイヤのなくなった車を見た佐伯は「(バック・トゥ・ザ・フューチャーの)デロリアンかと思った」と、その傍で記念写真を撮影したとか。



 2004年11月11日、日米野球に出場。日本チームで唯一、しかもK.ロッド(奪三振王のロドリゲス)からホームランを打ってしまうという快挙を達成します。しかし、それまでこの大会で無安打が続いており、直前には外野守備時、打球を後逸していていかにも微妙なタイミングだったせいか、「やってもた……」という顔で走っていたのが印象的でした。インタビューはほとんど逃げ腰で「もうええやん」と言いたげでした。



 2004年オフ、FA(フリーエイジェント)権を取得していた佐伯は残留の条件として横浜スタジアム入場料の値下げを提示。しかし球団側は「お前の野球人生だから好きなようにしてくれていい」と、積極的に引き止めなかったと、涙ながらに佐伯は訴えました。結局、牛島新監督の引き止めがあってFA権を行使することなく、無事残留が決まりました。(私は阪神入団のチャンス!と思って密かに期待していたのですが)



なんだかネタ的な話ばかりになってしまいましたが、この選手紹介を読んで佐伯に興味を持たれた方がいらっしゃったら、今シーズンは是非「横浜ベイスターズ」を応援してあげてください。